
光で材質を識別し、混合プラスチックを樹脂ごとに自動選別
近赤外線(NIR)選別機は、プラスチックなどの材料に近赤外線を照射し、その反射・吸収特性を分析することで材質を識別する光学式選別機です。
色や形状がよく似た材料でも、PE・PP・PET・PSなどの樹脂ごとに異なる反応を読み取り、設定した対象物をエアジェットで自動的に分離します。
人の目では見分けにくい材質の選別を自動化することで、選別作業の省人化、再生原料の純度向上、プラスチックリサイクルラインの処理効率向上に貢献します。
近赤外線(NIR)選別機とは
人の目では見分けにくい「材質」を識別
プラスチックには、PE、PP、PET、PS、PVCなど、さまざまな種類があります。
見た目が同じ白色や透明の材料であっても、異なる樹脂が混在していることがあります。こうした材質の違いは、目視や通常のカメラだけで判断することが困難です。
近赤外線(NIR)選別機は、樹脂ごとに異なる近赤外線の吸収・反射パターンをスペクトル情報として読み取り、材料の種類を瞬時に判定します。
再生原料の品質安定化を支える選別設備
再生プラスチックに異なる種類の樹脂が混入すると、溶融温度や成形特性の違いによって、再生ペレットや成形品の品質に影響する場合があります。
原料段階で目的の樹脂を選別し、不要な樹脂や異物の混入を抑えることは、再生原料の純度と品質を安定させるうえで重要です。
近赤外線(NIR)選別機は、混合プラスチックから目的の樹脂を回収し、マテリアルリサイクルの高度化を支える設備として活用されています。
近赤外線(NIR)選別機で選別できる主な材料
近赤外線(NIR)選別機は、主に混合されたプラスチックを材質ごとに識別・選別するために使用されます。
代表的な選別対象樹脂

| 材料 | 主な用途・選別目的 |
| PE(ポリエチレン) | 容器、フィルム、包装材などに使用される代表的な汎用樹脂です。 |
| PP(ポリプロピレン) | 食品容器、自動車部品、日用品などに広く使用されています。 |
| PET(ポリエチレンテレフタレート) | PETボトルや食品容器などのリサイクル工程で重要な選別対象です。 |
| PS(ポリスチレン) | 食品トレー、包装材、家電部品などに使用されています。 |
| PVC(ポリ塩化ビニル) | 他の樹脂への混入が後工程に影響する場合があり、除去対象として選別されます。 |
PC・ABSなどのエンジニアリングプラスチック

対象となる材料や装置の仕様によっては、PC、ABSなどの材質識別にも対応できます。
対応できる材料は、センサーの方式、登録されている識別データ、原料の状態によって異なります。
また、一般的な反射式NIRでは、カーボンブラックを含む黒色・濃色材料は近赤外線を吸収しやすく、識別が難しい場合があります。黒色材料の選別が必要な場合は、専用のセンサー方式や対応機種を検討する必要があります。

近赤外線(NIR)選別機の仕組み
近赤外線(NIR)選別機は、「光で材質を識別し、空気で選別する」装置です。
1.原料の供給と整列
ホッパーへ投入した原料を、振動フィーダーやコンベヤーで一定量ずつ供給します。
材料が重なるとセンサーから見えない部分が生じるため、できるだけ均一に広げて搬送することが重要です。
2.近赤外線の照射
搬送中の材料に近赤外線を照射し、材料から反射される光をセンサーで測定します。
3.スペクトルの解析と材質判定
樹脂ごとに異なる光の吸収・反射パターン
4.対象物の位置と排出タイミングを計算
制御システムが、識別した材料の位置と搬送速度を計算します。あらかじめ設定した回収対象または除去対象を判定し、排出のタイミングを決定します。
5.エアジェットで選別
対象物が排出位置へ到達するタイミングに合わせて圧縮空気を噴射し、通常の流れから吹き分けます。
この工程を連続して行うことで、大量の混合原料から

NIR選別機とカラーソーターの違い
近赤外線(NIR)選別機とカラーソーターは、どちらもセンサーを利用する光学式選別機ですが、識別する情報が異なります。
| 比較項目 | 近赤外線(NIR)選別機 | カラーソーター |
| 識別する情報 | 材質・樹脂の種類 | 色・明暗・外観 |
| 主な判断 | 何でできているか | どのように見えるか |
| 得意な選別 | 同じ色のPE・PPなどを材質別に選別 | 同じ材質から異色品や変色品を除去 |
| 主な用途 | 樹脂別の回収、異樹脂の除去 | 色の均一化、黒点・異色材の除去 |
例えば、白色のPEとPPが混在している場合、カラーソーターでは同じ色として認識されるため、材質を分離することは困難です。このような原料には、材質を識別できるNIR選別機が適しています。
一方、同じ種類の樹脂から異なる色のフレークや変色品を取り除く場合は、カラーソーターが適しています。
NIRセンサーとカラーセンサーを組み合わせることで、「材質」と「色」の両面から選別し、より高度なプラスチックリサイクルラインを構築することも可能です。
近赤外線(NIR)選別機の5つの特長
01.樹脂の種類を自動で識別
近赤外線の吸収・反射特性を解析し、PE・PP・PET・PSなどを材質ごとに識別します。
目視では判断しにくい、同じ色や似た形状のプラスチックにも対応できます。
02.選別作業の省人化
材料の検知、判定、排出までを自動化することで、人による手選別の負担を軽減します。
人員確保が難しい選別工程や、大量の原料を連続処理するラインの効率化につながります。
03.再生原料の純度向上
異なる樹脂の混入を抑えることで、単一樹脂の純度向上が期待できます。
再生ペレットや再生フレークの品質を安定させ、再生原料の用途拡大を検討しやすくなります
04.選別基準のばらつきを抑制
目視選別では、作業者の経験や熟練度によって判断に差が生じることがあります。
センサーによる材質判定と自動排出を組み合わせることで、設定した条件に基づく安定した選別工程を構築できます。
05.再利用可能な資源を回収
混合廃プラスチックの中には、再利用できる価値のある樹脂が含まれています。
材質ごとに分離・回収することで、これまで混合物として処理していた原料をマテリアルリサイクルへつなげ、廃棄物の削減と資源循環に貢献します。
導入前に確認したいポイント
近赤外線(NIR)選別機の性能を十分に活かすためには、処理する原料と選別目的を事前に整理することが重要です。
選別したい材質
回収したい樹脂と、取り除きたい樹脂・異物を明確にします。
原料の形状と粒径
ペレット、フレーク、粉砕品、容器など、原料の形状や大きさによって適した搬送方式が異なります。
原料の色と表面状態
黒色・濃色材料、汚れ、付着物、水分などは、近赤外線の識別性能に影響する場合があります。
必要な処理能力
1時間あたりの処理量や、既存ラインの搬送速度に合わせて機種を選定します。
求める純度と回収率
選別後に必要な品質と、良品として残したい材料の割合を確認し、選別条件を設定します。
前後工程とのつながり
破砕、粉砕、洗浄、乾燥、押出、ろ過、ペレット化など、前後の工程を含めて設備構成を検討する必要があります。
実際の原料は、材質だけでなく色、汚れ、粒径、形状などの条件が異なります。可能な場合は実原料による選別テストを行い、選別精度、回収率、原料ロスを確認したうえで仕様を決定してください。
このようなお悩みありませんか?

- 同じ色のPEとPPを材質ごとに分けたい
- 混合プラスチックから目的の樹脂を回収したい
- 人による選別作業を減らしたい

- 異なる樹脂の混入を抑えたい
- 再生ペレットや再生フレークの品質を安定させたい
- 破砕・洗浄・押出工程を含めてリサイクルラインを見直したい








