プラスチックリサイクル設備の導入を検討する際、量産ラインだけでなく、研究開発や試作段階で使用する「小型押出機」が必要になるケースがあります。
小型押出機は、大量生産を目的とした大型設備とは異なり、少量の材料でテストを行い、材料特性や成形条件、混練状態、ペレット化の可否などを確認するために使われる押出機です。
特に、新しい再生材の活用、異素材のブレンド、添加剤の配合テスト、リサイクルペレットの品質確認などを行う場合には、小型押出機を活用することで、量産前のリスクを抑えながら検討を進めやすくなります。
この記事では、小型押出機の基本、単軸押出機・二軸押出機との違い、破砕機など前処理設備との関係、プラスチックリサイクル設備として導入する際の選び方について、わかりやすく解説します。

目次
小型押出機とは?研究開発・試作向けに使われる押出機
小型押出機とは、少量のプラスチック材料を加熱・溶融し、スクリューで押し出すことで、材料の加工性や成形条件を確認するための設備です。
一般的な押出機と基本的な仕組みは同じですが、処理量が少なく、設置スペースも比較的コンパクトなため、研究開発、試作、品質確認、材料評価などで使われます。
たとえば、以下のような場面で活用されます。
- 新しい樹脂材料の試作
- 再生材とバージン材の配合テスト
- 添加剤やフィラーの混練確認
- リサイクルペレットの品質評価
- 量産前の押出条件の確認
- 小ロット製品の試作
量産設備をいきなり稼働させる場合、材料ロスや調整時間が大きくなることがあります。一方、小型押出機で事前に条件を確認しておくことで、量産ラインへ移行する際の判断材料を得やすくなります。
小型押出機と量産用押出機の違い
小型押出機と量産用押出機の大きな違いは、「目的」と「処理量」です。
量産用押出機は、安定した生産量を確保することを目的としています。長時間連続運転、処理能力、耐久性、後工程との連携などが重要になります。
一方、小型押出機は、材料や条件を確認するための試験設備として使われることが多く、少量の材料で何度も条件を変えながら検証できることが重視されます。
たとえば、温度設定、スクリュー回転数、吐出量、材料の供給状態などを調整しながら、「この材料は押出できるのか」「混練状態は安定するのか」「ペレット化したときに品質は保てるのか」といった点を確認します。
そのため、小型押出機を選ぶ際は、単純な処理能力だけでなく、条件変更のしやすさ、清掃性、メンテナンス性、試験データの取りやすさも重要です。
単軸押出機と二軸押出機の違い
単軸押出機とは?

ドナウトレーディング・ペレット・オンライン・ショップより引用
単軸押出機は、1本のスクリューで材料を送りながら加熱・溶融し、押し出す設備です。
構造が比較的シンプルで、安定した材料を連続的に押し出す用途に向いています。フィルム、シート、パイプ、ペレット化など、幅広い用途で使われています。
小型の単軸押出機は、すでに材料の性質がある程度わかっている場合や、基本的な押出性を確認したい場合に適しています。
一方で、複数材料の混練や添加剤の分散、材料同士の均一な混ざり具合を重視する場合は、二軸押出機の方が適しているケースがあります。
特徴
- 構造がシンプルでコストが低い
- 操作が容易
- 安定した連続運転が可能
※主に均一な原料(バージン材・単一素材)に適しています。
二軸押出機とは?

ドナウトレーディング・ペレット・オンライン・ショップより引用
二軸押出機は、2本のスクリューを使って材料を送り、混練しながら押し出す設備です。
単軸押出機に比べて混練性が高く、複数の材料を均一に混ぜたい場合や、添加剤、フィラー、顔料などを配合する場合に使われます。
研究開発や試作では、再生材に添加剤を加える、異なる樹脂をブレンドする、材料の分散性を確認するといった用途が多いため、小型の二軸押出機が選ばれることもあります。
ただし、二軸押出機は構造が複雑になる分、設備価格、メンテナンス、運転条件の調整には注意が必要です。
特徴
- 混練性能が非常に高い
- 添加剤やフィラーの分散が得意
- ガス抜き(脱揮)性能が高い
※再生材・複合材料・コンパウンド用途に最適です。
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小型押出機はどのような材料に使われるのか
小型押出機は、さまざまなプラスチック材料の試験に使用されます。
代表的な材料としては、PE、PP、PS、ABS、PET、PA、PVCなどがあります。また、再生プラスチック、粉砕材、ペレット、フレーク状材料、添加剤入り材料などのテストに使われることもあります。
ただし、材料の形状や状態によっては、押出機単体では安定した試験が難しい場合があります。
たとえば、フィルム状の端材、厚みのある成形不良品、硬い樹脂部品などは、そのまま押出機へ投入するのではなく、破砕機や粉砕機で適切なサイズにする前処理が必要です。
また、洗浄後の材料に水分が残っている場合は、押出時の発泡、ガス、品質低下につながることがあるため、乾燥工程も重要になります。
破砕機・粉砕機との関係|押出前の前処理が重要
プラスチックリサイクル設備では、押出機だけを見て設備を選ぶのではなく、前処理から後工程までの流れを考える必要があります。
一般的なリサイクル工程は、以下のような流れになります。
廃プラスチックを回収する ➡ 破砕機で細かくする ➡ 洗浄・乾燥を行う ➡ 押出機で溶かして押し出す ➡ カットして再生ペレットにする

この中で、小型押出機を使った試作においても、破砕機や粉砕機による前処理は重要です。
材料サイズが大きすぎると、押出機への供給が安定しにくくなります。また、サイズにばらつきがあると、溶融状態や吐出量にムラが出る可能性があります。
そのため、試作段階であっても、破砕・粉砕された材料の大きさ、かさ密度、異物の有無、水分量などを確認しておくことが大切です。
特に、将来的に量産ラインへつなげる予定がある場合は、小型押出機でのテスト条件だけでなく、実際の破砕機・洗浄機・乾燥機・ペレタイザーとの連携も見据えておく必要があります。
小型押出機を導入するメリット
小型押出機を導入するメリットは、少量の材料で試験できることです。
量産設備でテストを行う場合、一定量の材料が必要になり、条件変更にも時間がかかります。材料ロスや人件費、ライン停止のリスクも考慮しなければなりません。
小型押出機であれば、限られた材料で複数の条件を試しやすくなります。新しい材料の検討や、再生材の品質確認、添加剤の配合テストなどを社内で行えるため、開発スピードの向上にもつながります。
また、量産前に材料の押出性やペレット化の状態を確認しておくことで、導入後のトラブルを減らしやすくなります。
小型二軸押出機のテストができる「ドナウラボ」
小型押出機を検討する際、「実際に自社の材料でテストできるのか」「量産設備を導入する前に、押出やペレット化の状態を確認できるのか」という点は、非常に重要な判断材料になります。
ドナウ商事では、テストセンター「ドナウラボ」にて、小型二軸押出機を使用した材料試作や小ロットでのテストに対応しています。
ドナウラボでは、二軸混錬押出機とアンダーウォーターペレタイザーを使用し、材料の混練、押出、ペレット化までの流れを確認することができます。二軸押出機は、材料を溶かすだけでなく、添加剤の投入やコンパウンドにも対応しやすいため、再生材の品質確認や新しい材料の試作にも活用できます。
たとえば、以下のような検討に役立ちます。
- 再生材と添加剤の配合テスト
- 異なる樹脂材料のブレンド確認
- 押出時の温度条件やスクリュー回転数の検討
- ペレット化した際の形状や安定性の確認
- 量産設備導入前の材料適性テスト
- 小ロットでの試作・受託生産の検討
プラスチックリサイクル設備は、カタログ上の処理能力や仕様だけでは判断しにくい部分があります。特に再生材は、材料の形状、水分、異物、ロットごとのばらつきなどによって、押出時の安定性が変わることがあります。
そのため、設備導入前に小型二軸押出機で実際の材料をテストしておくことで、「押出できるか」「混練状態は安定するか」「ペレット化に適しているか」といった点を具体的に確認しやすくなります。
また、試作段階で得られた結果は、将来的に量産用の押出機や破砕機、洗浄機、乾燥機、ろ過装置、ペレタイザーを選定する際の参考にもなります。
設備導入をご検討の際は、まず小型二軸押出機で材料テストを行い、実際の処理状態を確認したうえでライン全体を検討することも有効です。
小型二軸押出機のテストができる「ドナウラボ」詳細はこちらをご覧ください▽
小型押出機を選ぶときのポイント
小型押出機を選ぶ際は、価格だけで判断するのではなく、目的に合った仕様かどうかを確認することが重要です。
1. 試験したい材料に対応しているか
まず確認したいのは、使用する材料との相性です。
樹脂の種類、融点、粘度、添加剤の有無、粉砕材かペレットか、含水しやすい材料かなどによって、適した押出機は変わります。
特に再生材を扱う場合は、材料の状態が一定ではないことも多いため、供給の安定性やスクリュー仕様も確認しておきたいポイントです。
2. 単軸押出機か二軸押出機か
単純な押出性の確認であれば、単軸押出機で対応できる場合があります。
一方、材料をしっかり混ぜたい、添加剤を均一に分散させたい、複数材料のブレンドを検討したい場合は、二軸押出機が適していることがあります。
どちらが良いかは、処理量だけでなく、試験の目的によって判断する必要があります。
3. 温度や回転数の調整がしやすいか
研究開発や試作では、条件を変えながら比較することが多くなります。
そのため、温度設定、スクリュー回転数、供給量などを細かく調整できるかどうかは重要です。
試験結果を量産設備へ反映するためには、条件を記録しやすいことも大切です。
4. 清掃・メンテナンスがしやすいか
小型押出機では、複数の材料を切り替えて試験することがあります。
そのため、内部清掃のしやすさ、スクリューやシリンダーのメンテナンス性、材料替えのしやすさは、実際の運用効率に大きく関わります。
特に、色替えや材料替えが多い場合は、清掃にかかる時間も導入前に確認しておくと安心です。
5. 将来の量産ラインにつながるか
小型押出機で良い結果が得られても、量産設備で同じように再現できるとは限りません。
そのため、小型押出機を選ぶ際は、将来的にどのような量産ラインへつなげるのかも考えておくことが大切です。
破砕機、洗浄機、乾燥機、押出機、ろ過装置、ペレタイザーまで含めて、リサイクルライン全体を見据えた検討を行うことで、設備導入後のミスマッチを減らしやすくなります。
プラスチックリサイクル設備として考える場合の注意点
小型押出機は、研究開発や試作に便利な設備ですが、プラスチックリサイクル設備として導入する場合は、押出機だけで完結しない点に注意が必要です。
リサイクル材は、材料の種類、汚れ、異物、水分、形状、ロットごとの品質差など、さまざまな要素が押出結果に影響します。
そのため、押出機の選定だけでなく、次のような設備との組み合わせも検討する必要があります。
- 材料を適切なサイズにする破砕機・粉砕機
- 汚れや異物を取り除く洗浄機
- 水分を取り除く乾燥機
- 溶融樹脂中の異物を取り除くろ過装置
- 再利用しやすい形にするペレタイザー
特に、試作段階で再生ペレットの品質を確認したい場合は、前処理の状態が結果に大きく影響します。
小型押出機での試験結果を正しく判断するためにも、投入する材料の状態をできるだけ安定させることが大切です。
Hartek 小型単軸押出機
よくある質問
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Q1. 小型押出機は量産にも使えますか?
- → 小型押出機は、主に研究開発や試作、小ロット検証を目的とした設備です。少量生産に対応できる場合もありますが、本格的な量産を目的とする場合は、処理能力や連続運転性を踏まえて量産用押出機を検討する必要があります。
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Q2. 単軸押出機と二軸押出機はどちらを選べばよいですか?
- → 材料を安定して押し出すことが主な目的であれば、単軸押出機が選ばれることがあります。一方、複数材料の混練、添加剤の分散、再生材の品質改善などを目的とする場合は、二軸押出機が適しているケースがあります。目的と材料に合わせて選定することが重要です。
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Q3. 破砕機は小型押出機の試作にも必要ですか?
- → 材料の形状によっては必要です。フィルム端材、成形不良品、厚みのあるプラスチック部品などは、そのまま押出機へ投入しにくいため、破砕機や粉砕機で適切なサイズにする前処理が必要になります。
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Q4. 小型押出機で確認した条件は量産設備にそのまま使えますか?
- → 参考にはなりますが、そのまま完全に同じ条件で使えるとは限りません。スクリュー径、処理量、滞留時間、冷却条件、材料供給の状態などが異なるため、量産設備では再調整が必要になる場合があります。
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まとめ|小型押出機は研究開発・試作から設備導入の判断材料を得るための重要な設備
小型押出機は、研究開発や試作の段階で、材料の押出性、混練状態、成形条件、ペレット化の可否を確認するために役立つ設備です。
特に、プラスチックリサイクルでは、材料の状態が一定ではないことも多く、量産前に小型押出機でテストを行うことで、設備導入後のトラブルを減らしやすくなります。
ただし、小型押出機だけで判断するのではなく、破砕機、洗浄機、乾燥機、ろ過装置、ペレタイザーなど、リサイクルライン全体の流れを見据えて検討することが大切です。
プラスチックリサイクル設備の導入を検討されている場合は、処理する材料や生産量、設置スペース、後工程とのつながりを踏まえて選定することが重要です。
ドナウ商事では、破砕機・押出機・ペレタイザーなど、リサイクルライン全体を見据えた設備導入のご相談に対応しています。
研究開発・試作段階での小型押出機の検討から、量産ラインへの展開まで、材料や目的に合わせた設備選定をサポートいたします。








