再生ペレットの臭い(VOC)を減らす押出機対策|脱気ベント・タンデム・脱臭装置の使い分け

再生ペレットづくりでよく聞く悩みが、「臭いが残って用途が広がらない」「発泡してペレットが安定しない」「印刷フィルムが難しい」の3つ。
この “ 壁 ” は、押出工程の設計(脱気・温度・滞留)と、必要に応じた高脱気ライン(タンデム)/VOC脱臭 の組み合わせで改善できるケースが多いです。
この記事では、臭い(VOC)の原因を整理しながら、脱気ベント・タンデム押出・脱臭装置の使い分けを、実務目線でまとめます。
この記事でわかること
- 再生ペレットの臭い(VOC)が残る“主な原因”
- 脱気(ベント)が効く条件/効かないときの典型パターン
- タンデム押出(2段式)で改善しやすいケース
- 押出だけで限界のときに検討したいVOC脱臭(前段処理)
再生ペレットの臭い(VOC)はどこから来る?原因は大きく3つ
臭気の正体は、材料や付着物から発生する**揮発成分(VOC)**が中心です。原因は大きく次の3系統に整理できます。
① 原料由来(回収材・容リ材・市場回収フィルムなど)
回収ルートにより、元々の臭気が強い材料もあります。原料そのもののVOC量が多い場合、押出の脱気だけでは “ 抜けきらない ” ことがあります。
② 汚れ・添加物・インク/接着剤由来(特に印刷フィルム)
印刷フィルムやラミ材は、インク・接着剤・コート剤などが絡み、臭気・発泡の原因が複合化しがち。
このタイプは、脱気(ベント)を増やす・真空条件を強化する・前段でVOCを抜くなど、設計側の打ち手が効きます
③ 熱履歴由来(温度・滞留・せん断)
温度が高すぎる/滞留が長い/せん断が強いと、材料が劣化して臭いが出やすくなります。
臭気だけでなく、焦げ・黒点・黄変など“別のトラブル”も同時に出る場合は、温度プロファイルや運転条件の見直しが近道です。
工程別:臭気が残るときのチェックリスト(前処理→押出→ペレット化)
臭い対策は「押出機だけ」で片付けようとすると難しくなりがちです。工程ごとに切り分けると、改善点が見えやすくなります。
前処理(洗浄・乾燥・投入)
- 水分が多い:発泡・白濁・吐出不安定の原因。脱気負荷が跳ね上がります
- 汚れ・異物が多い:ろ過負荷増+運転が不安定になり、臭気も残りやすい
- 投入が脈動する:滞留が増え、材料劣化→臭気増の流れになりやすい
押出(溶融・混練・ろ過・脱気)
- “ ろ過(異物)” と “ 臭気(VOC)” は別問題
異物を取ってもVOCが残ることは普通にあります。臭気は「揮発させて抜く(脱気)」が基本です。 - 温度が高すぎると臭気が増えることもあるため、単純に温度を上げれば良いわけではありません。
ペレット化(ストランド・水中カット等)
- ペレット表面に臭気が残るケースもあるため、冷却条件や取り扱いも要確認
- 発泡で形状が乱れると、後工程(乾燥・搬送)でもトラブルになりがちです
脱気(ベント/真空)が “ 効く条件 ” と、効かないときの典型パターン
脱気は万能ではなく、効く条件が揃っているときに強い技術です。逆に言うと「条件がズレているから効いていない」ことがほとんどです。
脱気が効きやすい基本条件
- 揮発成分が溶融中に十分に移動できる状態(温度・粘度が適正)
- 真空が安定して掛かる状態(噴き上がりを抑えられている)
- ベント位置までに、揮発させるための熱と混練が適切に入っている
よくある「効かない」パターン(現場あるある)
- 温度が低すぎて揮発しない:臭いが抜けない、ただのベントになる
- 温度が高すぎて噴き上がる:真空が安定せず、脱気できない(泡・飛散)
- 投入が不安定で滞留が増える:材料劣化が進み、臭いも増える
- 異物・ゲルが多く運転が荒れる:条件が “ 脱気向け ” に保てない
≪ ポイント ≫ 脱気は「ベントがあるか」より、温度・滞留・真空の安定で決まることが多いです。
タンデム押出(2段式)で何が変わる?“高脱気ライン”の考え方
印刷フィルムや市場回収品など、「臭気・水分・揮発分が多い」材料では、タンデム(2段式)が効くケースがあります。
タンデムが向く代表例
- 水印刷フィルム(PE等):臭い+発泡が同時に出やすい
- 水分率が高い材料:脱気負荷が大きい
- 物が多い・原料品質が揺れる:条件の安定化が課題
なぜタンデムが効きやすいのか
ざっくり言うと、脱気の “ 場 ” を増やせる のが強みです。
一段で無理にやると噴き上がりが起きやすい条件でも、段階を分けることで真空を安定させやすくなり、結果として臭気低減につながります。
3ベント口タンデムという選択肢
「脱気をもっと強化したい」ケースでは、ベント口(脱気ポイント)を増やした構成が効くことがあります。
材料特性と狙う品質(臭気レベル・用途)に合わせて、ライン設計の考え方が変わります。
タンデム製品一覧
押出だけで限界なら「VOC脱臭(前段処理)」を検討する
押出機側の脱気を突き詰めても、原料由来VOCが多い場合などは、どうしても“限界”があります。
そこで選択肢になるのが、押出の前段(または周辺工程)でVOCを減らす発想です。
VOC脱臭のメリット
- 押出機の脱気負荷を下げ、運転が安定しやすい
- “ 臭いの壁 ” を越えて、用途(販売先)の選択肢が広がりやすい
- 印刷フィルムなど、難しい材料で検討されやすい
結論:押出機で頑張る領域と、前段でVOCを抜く領域を分けて考えると、最短ルートが見えやすくなります。
迷ったら「材料から押出機を選ぶ」が早い(用途別の考え方)
臭気対策は、材料(硬質/軟質/PET/コンパウンド)で“最適解”が変わります。
御社には「処理物から押出機を探す」ページがあるので、記事の結論はそこへつなぐのが一番スムーズです。
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材料から押出機を選ぶ |
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| 硬質材料 | フレークの安定供給+ろ過+適正な脱気 |
| 軟質材料(フィルム) | 臭い・水分・印刷由来VOC → 高脱気設計が効きやすい |
| PETリサイクル | 乾燥・水分管理が品質に直結 |
| コンパウンド | 添加剤・混練・脱気のバランスが重要 |
処理物から押出機を探す(軟質/硬質/PET/コンパウンド別) ページへ
まとめ
臭い対策は「押出機の脱気」+「高脱気ライン」+「前段VOC低減」で考える
再生ペレットの臭い(VOC)対策は、
原因を整理して(原料/汚れ・印刷由来/熱履歴)
工程別に切り分け(前処理→押出→ペレット化)
脱気が効く条件を揃える(温度・滞留・真空安定)
必要ならタンデムやVOC脱臭も含めて設計する … という順で考えると、遠回りしにくくなります。
「うちの材料だと、どの押出機構成が近い?」という場合は、まずこちらから当たりを付けるのが早いです。
処理物から押出機を探す(軟質/硬質/PET/コンパウンド別) ページへ
再生ペレットの臭いのトラブルに関するよくある質問(FAQ)
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Q1. ベント(脱気)を付けても臭いが抜けないのはなぜ?
- → 多くは、温度・粘度・真空の安定など“効く条件”が揃っていないのが原因です。温度が低すぎて揮発しない/高すぎて噴き上がる、投入の脈動で真空が安定しない、などが代表例です。
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Q2. 「脱気(ベント)」と「VOC脱臭装置」は何が違う?
- → 脱気は押出工程内で揮発分を抜く発想。VOC脱臭は、押出負荷を下げるために前段で揮発分を減らす発想です。材料由来VOCが強い場合は、脱臭側が効きやすいことがあります。
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Q3. 印刷フィルムの再生で発泡・臭いが出やすいのはなぜ?
- → インク・接着剤などの揮発成分が多く、しかも水分の影響も受けやすいからです。脱気の設計(真空・ベント数)や、タンデム構成の検討が有効になりやすい領域です。
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ドナウ商事では、現場の課題に応じて最適な押出機のご提案を行っております。
リサイクル効率化や省エネ、品質改善に課題を感じておられる方は、ぜひお気軽にご相談ください。


























