
押出機(エクストルーダー)は、条件が少しズレるだけで「吐出が安定しない」「温度が上がりすぎる」「焦げる」「黄変する」「泡が出る」など、さまざまなトラブルが起こります。
大事なのは、闇雲に設定をいじるのではなく、工程ごとに“原因の当たり所”を絞っていくことです。
この記事では、よくある症状を 工程別( 供給 → 溶融/混練 → 脱ガス → ろ過 → 成形 → ペレット化 )に整理し、現場で確認すべきポイントをまとめます。
まずは結論:トラブル切り分けは「順番」が9割
押出機トラブルは、以下の順で見ると最短で原因に近づきやすいです。
1. 原料(状態):含水、かさ密度、異物、配合、MFR/粘度
よくある症状一覧(“原因の当たり所”早見表)
| 症状 | ありがちな原因 | 最初の確認 |
|---|---|---|
| 吐出ムラ/圧がふらつく | 供給ムラ、温度不安定、スクリーン目詰まり、スクリュー摩耗 | 原料供給の安定、圧力トレンド、スクリーン交換頻度 |
| 樹脂温度が上がりすぎる | 回転数過多、せん断過多、滞留、温度プロファイル不適 | 回転数、トルク、ゾーン温度、樹脂温度(実測) |
| 焦げ・黒点が出る | デッドスペース滞留、清掃不十分、温度過多、酸化 | 清掃履歴、運転停止時の処置、ダイ周り |
| 黄変する | 過熱、滞留、酸化、添加剤との相性、脱ガス不足 | 低回転/低温の検討、ベント、原料ロット |
| 泡・銀条・臭気 | 含水・揮発分、ベント詰まり、真空不足 | 含水率、真空度、ベントの詰まり/温度 |
| スクリーン目詰まり頻発 | 異物量多い、メッシュ細かすぎ、前処理不足 | 異物の種類、メッシュ選定、破砕/洗浄条件 |
| 粒がそろわない/糸引き | 押出温度・冷却・カット条件の不整合 | ペレタイザー方式、冷却、刃の状態 |
工程別:原因と対策(チェックリスト)
1)供給工程(ホッパー〜供給口)
症状:吐出ムラ、圧力変動、噛み込み不良、詰まり
原因例
- かさ密度が低い材料(フィルム・不織布等)でブリッジが起きている
- 原料の粒度・形状差が大きく、供給が脈動している
- 供給口の温度が高く、溶け・貼り付きが発生している
現場チェック
- ホッパー内で材料が「落ちているか/空洞化していないか」
- 供給部の温度(結露・溶け付き)
- 供給が不安定なら、攪拌・フィーダー・前処理(圧縮/裁断)の検討
2)溶融・混練工程(スクリュー/バレル)
症状:温度上昇、焦げ、黄変、吐出不安定
原因例
- 回転数を上げすぎてせん断熱が増えている
- スクリュー摩耗や材質/形状の不一致で、混練が不安定
- 停止・立上げ時に材料が滞留して焼けやすい
現場チェック
- 回転数を下げたとき、樹脂温度・品質が改善するか
- トルクの急変(負荷が一定か)
- 清掃のタイミング(ダイ周り・スクリュー先端のデッドスペース)
3)脱ガス工程(ベント/真空)
症状:泡、銀条、臭気、外観不良、物性低下
原因例
- 原料の含水や揮発分が多いのに、ベントが効いていない
- ベント部が詰まり、実質的に脱ガスできていない
- 温度プロファイルのせいで、揮発のタイミングが合っていない
現場チェック
- 含水率(乾燥条件・保管状態・洗浄後の水分)
- 真空度(ポンプ能力・漏れ・配管詰まり)
- ベントからの噴き上がり(条件ズレのサイン)
4)ろ過工程(スクリーンチェンジャー/フィルター)
症状:圧力上昇、吐出ムラ、スクリーン交換頻発
原因例
- メッシュが細かすぎて詰まりやすい
- 異物量が多く、前処理(破砕・洗浄)が追いついていない
- 切替方式・運転条件が合っておらず、圧が揺れる
現場チェック
- スクリーン交換(または自動切替)の頻度と圧力上昇の関係
- 異物の“種類”(紙・金属・砂・焦げ)を把握する
- 必要に応じて、方式変更(例:自動連続式/レーザー等)も検化
5)成形(ダイ)〜ペレット化(ペレタイザー)
症状:筋、片寄り、寸法不良、粒不良、糸引き
原因例
- ダイ温度ムラ・汚れで流れが偏っている
- 冷却条件が不適で、カットが安定しない
- 押出温度が高すぎて糸引きしやすい(逆に低すぎても切れ不良)
現場チェック
- ダイ清掃、ダイ温度の均一性
- ペレタイザーの刃の状態/回転数/冷却(水量・温度)
- 方式(水中・ストランド等)と材料特性の適合
相談・見積り前に整理すると早い「確認項目」
トラブル相談の際、下記が分かると原因特定が一気に早くなります。 |
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| □ 材料 | 樹脂種類、配合、添加剤、MFR/粘度、含水率 |
| □ 供給 | 供給:形状(フレーク/粉/フィルム)、かさ密度、投入方法 |
| □ 条件 | 条件:回転数、ゾーン温度、樹脂温度(実測)、圧力トレンド |
| □ ろ過 | メッシュ、交換頻度、異物種類 |
| □ 先端 |
ダイ形状、ペレタイザー方式、冷却条件 |
| □ 症状 |
いつから/どのロットから/再現条件 |
押出機のトラブルに関するよくある質問(FAQ)
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Q1. 吐出ムラが出ます。最初に触るべきは温度ですか?回転数ですか?
- → まずは「供給が安定しているか」「圧力が揺れていないか」を確認し、その上で回転数・温度を調整するのが近道です。供給ムラがある状態で温度だけ触ると迷子になりがちです。
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Q2. 温度設定は合っているのに、樹脂温度が高くなります。
- → 供給ムラ/圧力変動(スクリーン・温調)を疑う
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Q3. 黄変や焦げは、清掃で直りますか?
- → 直るケースも多いです。特にダイ周り・先端のデッドスペースに滞留があると再発します。停止時の処置(抜き運転等)も重要です。
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Q4. スクリーンがすぐ詰まります。メッシュを粗くするしかない?
- → “異物の正体”によります。前処理(破砕/洗浄)の見直し、方式変更、材料ごとのメッシュ最適化など、選択肢は複数あります。
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まとめ
押出機トラブルは、原因が1つとは限りません。だからこそ、
「 原料 → 供給 → 温度 → 圧力 → 脱ガス → 先端 」
の順で切り分けると、最短で答えに近づけます。
ドナウ商事では、材料・用途・現場条件を伺ったうえで、押出機本体だけでなく周辺機器(ろ過・ペレット化・前処理)まで含めた最適提案が可能です。
「 症状は分かるけど、どこから見直せばいいか分からない 」という場合も、お気軽にご相談ください。
ドナウ商事では、現場の課題に応じて最適な押出機のご提案を行っております。リサイクル効率化や省エネ、品質改善に課題を感じておられる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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タンデム単軸押出機 |
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